Japanese
English
短報
飲酒により誘発された急性Diphenylhydantoin中毒の症例
A Case of Acute Diphenylhydantoin Intoxication Induced by Alcohol
兼子 直
1
,
桜田 高
1
,
鈴木 喜八郎
2
,
大沼 悌一
2
,
福島 裕
2
Sunao Kaneko
1
,
Takashi Sakurada
1
,
Kihachiro Suzuki
2
,
Teiichi Onuma
2
,
Yutaka Fukushima
2
1弘前精神病院付属弘前てんかん研究所
2弘前大学医学部神経精神医学教室
1Hirosaki Epilepsy Center
2Dept. of Neuropsychiatry, Hirosaki Univ. School of Medicine
pp.615-617
発行日 1977年6月15日
Published Date 1977/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405202627
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I.はじめに
抗てんかん剤による副作用には,投与部位の局所刺激反応,生体の過敏反応および過量投与(overdosis)によるものがある1)。したがって,多量投与せざるを得ぬ場合はもちろんのこと,適量投与と考えられる症例についても,副作用の早期発見とその防止には十分な配慮が必要である。
最近著者らは,通常の治療範囲量の抗てんかん剤を投与していたにもかかわらず,アルコール摂取を契機に急性diphenylhydantoin(DPH)中毒の症状を生じた症例を経験した。本例については,血清,唾液,および髄液内濃度を経時的に測定したが,その結果を治療に役立てることができたので,本稿では,臨床経過とともに上記体液内抗てんかん剤濃度の変動ならびに,脳波所見の推移を合わせて報告する。
各体液からの抗てんかん剤の抽出ならびに濃度測定は,おおむね宮本ら2,3)の方法に従った。
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