動き
欧州の児童精神医学事情—Ⅱ.ソヴィエト連邦
作田 勉
1
Tsutomu Sakuta
1
1慶応義塾大学医学部精神神経科
1Dept. of Neuropsychiatry, Keio University School of Medicine
pp.293-299
発行日 1977年3月15日
Published Date 1977/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405202596
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I.はじめに
ソ連における児童精神医学の実態は,これまであまりよくわからなかった。近年になって,アメリカ人による研究が進み,1972年にはN.Rollinsによる“Child Psychiatry in the Soviet Union”が発行された。その他にもいくつかの論文がポツポツと出されている。しかし,日本人の手によるソ連児童精神医学の動向報告は,未だほとんどないようである。著者は,昭和51年3月下旬に約2週間にわたって,ソ連の三大都市であるモスクワ,レニングラード,キエフの主要研究所を訪ね,各教授と直接面談する機会を得た。その際,各地での児童および青年期精神医学専門医との会見の他に,関連施設をも訪問したので,その模様を報告したい。
なお,この報告は,ソ連福祉医療教育視察団(16名)として訪問した記録によるものであるが,コーディネイターである国際資料企画センター田村貞雄氏の努力で,各地における児童精神科医との充実した会見がソ連アカデミーにより特別に認められたことを付記し,田村氏への感謝を述べたい。なお,同道された精神科医は,北大名誉教授奥田三郎氏,大阪厚生年金病院医長林幹夫氏であった。なお,ソ連における児童精神科医との会見は,ソ連においては常にそうであるように,時間が指定されていたため,意に満たぬまま打ち切らざるを得ないこともあった。その点ご了承願いたい。
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