Japanese
English
研究と報告
“Transient Fluent Aphasia”とGerstmann症状群
"Transient Fluent Aphasia" and Gerstmann's Syndrome
八島 祐子
1
,
丸子 一夫
1
,
高谷 雄三
1
,
石下 恭子
1
Yuko Yashima
1
,
Kazuo Maruko
1
,
Yuzo Takaya
1
,
Kyoko Ishige
1
1福島県立医科大学神経精神医学教室
1Dept. of Neuropsychiatry, Fukushima Medical College
pp.847-852
発行日 1976年8月15日
Published Date 1976/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405202515
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I.はじめに
左右障害,手指失認,失算および失書を四症状とするGerstmann症状群9〜13,15)(以下G症状群と略す)は,既知の症状群として広く認められている。それにもかかわらず,その原因や症状発生機転については諸説があり,本症状群の存在の有無について疑念を抱いている人々さえおり定説がない1,3,19〜21)。
臨床上,私達は,左右障害,手指失認,失算および失書などの症状が同時に存在する症例を多数経験しており,Gerstmannの原著にみられる上記の四症状を従来通りG症状群の基本症状と考える。実際にはこれらの四症状のほかに,失読,身体部位失認,健忘失語などが随伴することがあり,Gloningら8)は“enlarged” Gerstmann syndromeと称し,臨床的単位として扱っている。症状群発現の損傷部位の中心をなすのは,優位半球の頭頂部・後頭葉移行部,即ち,角回であることは従来諸家が認めている。
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