映画紹介
—D. クラーク・相場 均・斎藤茂太 編集—「平常心」“Peace of Mind”
斎藤 茂太
1
1斎藤病院
pp.1240-1241
発行日 1973年11月15日
Published Date 1973/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405202107
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WHOから派遣されて,デービッド・クラーク博士が来日してからはや6年の歳月がすぎた。ご承知のように,加藤正明氏と相場均氏が勧告書を作るまでの作業の手伝いをしたが,そんなある日,クラーク夫妻,相場氏と私は原宿の,とあるバーで飲んでいた。そのとき,私はクラーク博士が第2次大戦中は落下傘部隊の軍医だったことを初めて知った。Go!という叫びで飛行機から跳び出すクセがついて,バスの車掌がGo!と言うとバスからとび降りてしまったなどと博士は笑った。Goを「ガウ」と発音するのが印象的だった。Air Borneと呼ばれる空挺部隊はアイディアも勇気も最も先端を行くグループである。そこで育くまれたものが,今日,彼の主宰するフルボーン病院が英国でも最も新しい思想を持つ病院のひとつに変貌した原動力となったとも思える。
それはともかく,勧告書が出来上がった時点で,書類が単に机の上に置おれているだけでは惜しいではないかという気持がクラーク博士にも相場氏にもあった。映画という考えが期せずして浮かんだのは当然であったかもしれぬ。
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