Japanese
English
研究と報告
精神科デイケアの治療的意義—Identity障害の1女性例の経過から
On the Therapeutic Function of Day Care Treatment: From the rehabilitation process of a female case of identity disorder
笠原 敏彦
1
,
阿曽 加寿子
1
,
大西 由美子
1
,
徳本 栄子
1
,
佐藤 恵美子
1
,
安達 克己
2
,
深沢 孝克
2
,
上野 武治
2
Toshihiko Kasahara
1
,
Kazuko Aso
1
,
Yumiko Onishi
1
,
Eiko Tokumoto
1
,
Emiko Sato
1
,
Katsumi Adachi
2
,
Takakatsu Fukazawa
2
,
Takeji Ueno
2
1北海道大学医学部附属病院精神科神経科
2北海道大学医療技術短期大学部
1Department of Psychiatry and Neurology, Hokkaido University School of Medicine
2College of Medical Technology, Hokkaido University
キーワード:
Day care
,
Therapeutic function
,
Rehabilitation process
,
Identity disorder
Keyword:
Day care
,
Therapeutic function
,
Rehabilitation process
,
Identity disorder
pp.1141-1147
発行日 1988年10月15日
Published Date 1988/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405204600
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
抄録 デイケア活動のなかで立ち直りを見せたIdentity障害の1女性例を報告し,デイケアの治療的意義に関し若干の考察を加えた。
精神障害者の社会復帰過程は,「being」と「doing」の密接な相関的発展によって進行することは言うまでもないが,精神分裂病者の場合には,基本的には前者から後者への方向で理解されることが多い。ところが,本症例の立ち直りは,後者から前者へと向かうことによって得られた。また,デイケアの集団療法的側面だけではなく,個人療法的対応の重要性が示唆された。要するに,精神科デイケアは多様で多義的な治療活動であり,意欲や作業能力の増強が期待される慢性期の精神病者に限らず,人格発達や対人経験を必要とするような神経症圏の症例に対しても有効であると考えられた。
Copyright © 1988, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.