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特集 社会のなかの精神科医
病院小社会の外の精神科医
Psychiatrists Who are out of the Hospital Community
逸見 武光
1
Takemitsu Henmi
1
1東京大学医学部保健学科精神衛生学教室
1Dept. of Mental Health, Faculty of Med., Univ. of Tokyo
pp.1009-1013
発行日 1970年12月15日
Published Date 1970/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405201684
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Ⅰ.中間領域概念とは何か
私に与えられた課題は「中間領域における精神科医」というものであった。私は,私の志向する社会精神医学について機会を与えられた際には,私自身の状況がどうあろうとも,つとめて発言したいと考えているので,この課題にも答えてみようとは思う。しかし,私にとって,この“中間領域”という概念は理解できず,また,私自身を“中間領域”で仕事をする精神科医と規定したことはない。私は,自分を何らの形容句や制限の枠を付帯することなく,まさに“精神科医”としてidentifyしてきたし,また,そのidentificationにこそ最大の努力を払ってきたつもりである。そのような理由よりして,私は,私の仕事を“中間領域”というような呼び方をされることに対し,まず当惑し,そして直ちにはげしい怒りを感じたことをあらかじめ述べておきたい。“中間領域”なる言葉は既に確立した諸領域の間隙を意味しており,そこは常に自己の帰属する領域の不確実さにおののくものたちが栖息しているところである。私にこの課題を与えた企画者は既に確立された領域としてどことどこを指しておられるのか,それがまず知りたいところであるが,「標題については適宜ご変更いただければ好都合」という回答に接して,企画者の意図を私なりに次の通り解釈することにした。
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