ソヴィエトの臨床精神病理学（その2）—Kurt Schneiderに対する批判的見解

The Soviet Clinical Psychopathology (2): A Critical View of K. Schneider's Psychopathology

I．はじめに

　前回，「経過」精神医学の立場をとるソヴィエトの臨床精神病理学について，その概略を紹介した。では，ソヴイエトの精神科医は古典的ドイツ精神医学の粋ともいうべきK. Schneiderの精神病理学に対して，同じ臨床主義の立場からどのような見解をもつているであろうか。

　ここに紹介するのは，Korsakov神経病理・精神医学雑誌にのつたK. Schneiderの著書，『臨床精神病理学』（第5,6,7版）に対するE. Ya. Shternberg（ソ連邦医学アカデミー精神医学研究所）の書評^1）2）3）の要約である。