特集 医学教育と精神療法
第5回日本精神病理・精神療法学会大会シンボジウム「医学教育と精神療法」より
主題講演
卒業前医学教育における精神療法の意義
諏訪 望
1
1北海道大学精神科
pp.165-167
発行日 1969年3月15日
Published Date 1969/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405201446
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このシンポジウムを企画された土居健郎氏から,昨年12月に手紙をいただいた。そのなかでこのシンポジウムの目的が明らかにされているので,その一節を公開することを許していただきたい。それはつぎのとおりである。"このシンポジウムを企画した理由は,だいたいお察しいただけるかと思いますが,近年精神療法がさかんになつたとはいえ,やはり一部で専門家の傾向にはしるといいますか,サークル活動的なところがあり,基礎が十分でないうらみがあります。精神科医師の一般的技術としての精神療法,さらには,精神科のみならず,すべての臨床医の心得べき精神療法ということが滲透しなければ,精神療法学会は根なし芋のごとくなるおそれがありますし,また層が厚くならないので,一部の人間の自己満足ともなりかねません。この根本的対策としては,医学教育(アンダーグラデュエート)において精神療法を位置づけねばならないと考え,今回のように教室主任だけのシンポジウムを企画したようなしだいです。どうぞなんとかおひき受けください。というよりも学会の運営委員会の決定により,絶対におひき受けくださらねばならない,おことわりはできないと申しあげねばなりません。——中略——話すことがないとおつしやりはしないかと思つて,そのプロテストをあらかじめ封ずるために一言申し添えさせていただきますと,現状のことではなく,将来の青写真をお話しくださつても結構です。"
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