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限界状況における集団的幻覚体験について—冬山遭難時の幻覚の現象学的記述と精神医学的考察
Das Gruppenerlebnis der Halluzination in der Grenzsituation: phanomenologische Beschreibung und psychiatrische Betrachtung der Halluzination beim Unfall im Winterberg
荻野 恒一
1
Koichi Ogino
1
1南山大学
1Nanzan Universität
pp.79-84
発行日 1968年1月15日
Published Date 1968/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405201288
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I.はじめに
幻覚という主題は,妄想とともに,精神病理学のもつとも重要なテーマとして論ぜられてきたが,その研究の対象は,主として精神病者(とりわけ精神分裂病者)の幻覚体験,副次的には大脳病理学の対象となるべき病者(大脳皮質の局在病変,脳底部障害,せん妄状態など)の幻覚体験であつて,例外状況におかれた正常者のそれに関しては,非常に報告が乏しかつたように思う。
だが,例外状況(孤立状況,感覚遮断など)における幻覚体験についての報告も皆無ではなく,たとえば最近,医師Lindemann, H. が単身大西洋を横断したときの幻覚体験1)2)(言語性幻聴,人間や馬の幻視)が報告され,また島崎,中根は,一医学生が夏山登山において体験した幻聴(ソプラノの歌,ラジオの天気予報など)について報告している3)。
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