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診断セミナー
幻覚と錯覚
Hallucinantion and Illusion
小見山 実
1
Minoru KOMIYAMA
1
1東京医科歯科大学精神神経科
1Department of Psychiatry, Tokyo Medical and Dental University School of Medicine
キーワード:
Hallucination
,
Auditory hallucination
,
Visual hallucination
,
Abnorme korpersensation
,
Illusion
Keyword:
Hallucination
,
Auditory hallucination
,
Visual hallucination
,
Abnorme korpersensation
,
Illusion
pp.337-341
発行日 1976年4月10日
Published Date 1976/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436200435
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幻覚hallucination,Halluzinationは,外界からの感官刺激なしに知覚されるもので,エスキロールによって「対象なき知覚」と定義されている.幻覚の種類は現われる感覚にしたがって,幻視,幻聴,幻触,幻味,幻嗅などに分けられる.また,幻覚は知覚の性格をもつか,表象の性格をもつかによって,「真正幻覚echte H.」と「偽幻覚Pseudohalluzination」とに分けられる.前者では幻覚の対象がありありと実体的に感じられ,外部の客観的空間に定位されるのにたいし,後者では画像的で,内部の主観的空間に現われ,知覚のような明瞭性をもたない,幻覚は一般に真性幻覚であるが,偽幻覚の性格をもつものもある.
幻覚が正常者に出現することは例外的な状態を除いてほとんどない,たとえば山で遭難したり,単独で長期間航海したりするような場合であり,いずれも他者とのコミュニケーションをたたれた孤立状況といえるものである.実験的に外部からの感官刺激をできるかぎり少なくしてこれと似たような孤立状況をつくりだしたさいにも(感覚遮断sensory deprivation),幻覚が生ずることが知られている.
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