Japanese
English
研究と報告
頭部外傷後人格変化症例の治療経験
A Study on the Treatment of the Patients with Changes of Character due to Traumatic Brain Damage
太田 幸雄
1
,
川端 利彦
1
Y. Ota
1
,
T. Kawabata
1
1大阪赤十字病院精神神経科
1Neuro-psychiatric Dept. of Osaka Red Cross General Hospital
pp.891-895
発行日 1965年10月15日
Published Date 1965/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405200912
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- サイト内被引用 Cited by
I.はじめに
われわれ(太田ら2))は,さきに成人の頭部外傷後遺症として,人格面での変化が数のうえからいつても多く(われわれの1,168名の統計では5.8%),重要な後遺症状の一つであることを報告した。
さて,つぎに起こる問題は,こういう患者の治療の問題とともに,非常に長い期間の後に患者がどういう経過をたどるかということである。しかし,長期にわたつてこういう患者を治療し観察しつづけることはきわめて困難である。患者自身に病識が乏しいことも大きな困難の原因の一つであるが,そのほかにも,患者の家族,勤務先の理解,経済的支持が必要であると同時に,健康保険や労災保険の面での問題も大きい。
われわれは,ごく少数例ではあるが以上のような点で好条件に恵まれ,きわめて長期間治療でき,しかもかなり良好な経過をとりえた3例について報告したいと思う。しかし,これらはいま述べたように,きわめて限定された好条件のもとに治療と指導を行ないえた症例で,しかもきわめて少数例であるので,この論議が人格変化症例の全般についてのものではないことを前もつて,おことわりしておく。
Copyright © 1965, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.