特集 精神分裂病の“治癒”とは何か
第1回日本精神病理・精神療法学会シンポジウム
はじめに
諏訪 望
pp.198-199
発行日 1965年3月15日
Published Date 1965/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405200812
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「精神分裂病の治癒とは何か」という題をご覧になつて,皆様あるいは意表をつかれたというような気持,またはどぎもを抜かれたというような感じをもたれたのではないかと思います。私もこの司会を仰せつかり,このようなむずかしいテーマについて,はたしてまとめられるかどうか,まつたく自信がありませんが,本日の演者ならびに討論者の方々は,あらためてご紹介するまでもなく,その道のベテランぞろいですから,おのずから結論めいたものが出ることを予期しているわけであります。見かたによっては,こういうテーマをシンポジウムで扱うのは,非常に大胆なこころみです。いうまでもなく,分裂病の原因というものが不明であり,また分裂病に関する見解が,こんにちまだ一致していないという状況でありますので,分裂病の治癒ということについて議論することは,ある意味においては不可能といつてもさしつかえないかもしれません。
本日のシンポジウムは,このようなことを前提として行なわれるということを,われわれは最初に確認しておく必要があるのではないかと思います。確認というとちよつと大げさですが,それにはやはり1つの理由があります。つまり何かの形式で話の場というか,枠というものを決めてないと,シンポジウムを行なうことは不可能になるからです。
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