特集 精神療法の限界と危険
第1回日本精神病理・精神療法学会シンポジウム
はじめに
村松 常雄
1
1国立精神衛生研究所
pp.94
発行日 1965年2月15日
Published Date 1965/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405200792
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村松(司会者) 「精神療法の限界と危険」というテーマは2つの違つた方向の問題点を示すように解せられます。その1つは治療者がどのように努力しても「実際上越え難い限界」とそれに関する諸条件や危険についてという問題であり,他の1つは治療行為として「越えてはならぬ」限界と危険という問題です。またそのいずれの方向においても治療者が精神療法に熱意をもつ精神科医である場合と,そうでない医師である場合と,さらにまた非医師である場合と,それぞれ問題点の違うものがあろうかと思われます。このシムポジアムではそのなかのいずれを主とするのか,それともその全部にわたるものなのか,これが司会者の第1の疑問点でした。
第2の疑問点は,精神療法といつてもそれぞれの考えかたによつていろいろの方法もあるうえに,集団療法もあり,さらにまたその対象によつて,たとえば神経症患者の場合,精神分裂病患者の場合,サイコ・ソマチックス患者の場合,性格異常の場合,児童の場合,などでそれぞれ特殊な問題もあると考えられます。かぎられた時間内で論議の中心をどのへんにしぼるかという点です。
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