特集 うつ病—日本精神病理・精神療法学会(第4回大会シンポジウム)
はじめに
新福 尚武
1
1慈恵医大
pp.340
発行日 1968年5月15日
Published Date 1968/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405201323
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このシンポジウムはうつ病について苦闘している若い研究者が日ごろの研究成果を出し合つたものである。幸いにも,問題領域はかさなり合いながら少しずつずれ,方法・立場は少しずつ相違しながら共通しているため,全体としてバライエティに富み,しかも関連と統一のあるものとなった。
第Ⅰ部は性格と状況であるが,問題をうつ病発生との関連における性格と状況にかぎつた。したがつて,一面からみるとうつ病の病前性格論であるが,他面からみると心理的発生論である。実際には両者は楯の両面にほかならない。長い間うつ病は単に「内因性」のものとされ,その面だけが注目されてきたが,さらにこのような面をもつということが明らかになつてきたことはうつ病研究史に新しいエポックを画するものといつてよいと思う。Tellenbach教授の来日を機会として教授のTypus melancholicusと下田の執着性格の関係などが検討されたことは,とくに意義深いことであった。
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