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精神医学と神経学との関連についての精神医学者の会合に指定討論者として招かれたことを光栄に感じている。私は三浦教授のご講演をうかがつて,それについての意見を述べさせていただくわけであるが,それはclinical neurologistの立場における意見である。三浦教授がご指摘になつたように,神経学を考える場合,広義の神経学すなわちneurological scienceと,狭義のneurologyすなわち臨床神経学のいずれを意味するかを明確にしなければならないが,これを同じ意味において広義の神経学に関係している神経学者と,clinical neurologistを一応分類することができるわけである。三浦教授はこの狭義の神経学に対して,旧態依然たるとか,19世紀的神経医学とかよんでおられるが,この言葉に対する意見は別として,私はとにかく臨床神経学者の立場に立つての意見を述べるということを明らかにしておきたい。これは三浦教授が神経学を考えるのに精神医学者または精神神経学者としての立場に立つておられるのと対蹠的である。三浦教授は精神医学とneurological scienceの関連について,かなり長い時間論ぜられたのに対して,私もclinical neurologyと,neurologlcal sclenceの関連について同様に論ずることもできるわけであるがこれについては本日の主題からはずれる。三浦教授の論点は,そのように精神医学とneurological scienceとの関連が主となつており,精神医学と,狭義の神経学との関連についての論述が少ないので,clinical neurologistの立場から論ずる領域は勢いかぎられたものにならざるをえない。
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