Japanese
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研究と報告
いわゆる潜伏性精神病の研究—精神分析的精神療法過程で精神病的状態を顕在化した症例群について
A Clinical Study of the so-called Latent Psychosis: some observation of the cases manifesting psychotic states in the psychoanalytic processes
小此木 啓吾
1
,
岩崎 徹也
1
K. Okonogi
1
,
T. Iwasaki
1
1慶応大学医学部神経科
1Neuropsychiatric Department., Keio Univ.
pp.989-996
発行日 1963年12月15日
Published Date 1963/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405200644
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I.まえがき
われわれは,分裂病境界領域患者に対して精神分析的な精神療法をこころみ,その観察による力動的な解明をめざしているが,歴史的にみて,このようなアプローチの出発点となつた潜伏性精神病(P. Federn,G. Bychowski)の顕在化についてその知見を述べ,神経症領域から分裂病領域へと,歩みを進める途上で直面される治療上,精神病理学上の問題を解明する一助としたいと思う。またこの知見は,われわれが組織的に研究中の,いわゆる《境界例》の検討に対しても,操作的な側面から一つの手がかりを与えるものである。(境界例の研究については,本誌に掲載の諸論文1)2)3)を参照)
なお,本報告のさいのlatent psychosisの概念は,もつぱら,latent schizophreniaの観点にかぎり,潜伏性躁うつ病については,また,別の機会に譲ることとした。
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