Japanese
English
研究と報告
抜毛癖に関する考察—その発達史的・力動的機制について
On Trichotillomania
木村 定
1
,
篠原 大典
2
,
国吉 政一
2
,
川端 つね
3
,
三好 暁光
3
S. Kimura
1
,
T. Shinohara
2
,
S. Kuniyoshi
2
,
T. Kawabata
3
,
A. Miyoshi
3
1Dept. of Psychiatry, Kansai Medical School
2岩倉病院
3京大神経科
pp.239-242
発行日 1962年4月15日
Published Date 1962/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405200425
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てんかんの2例,神経症の2例について,陳旧分裂病ならびに進行麻痺の症例と比較しつつ,抜毛癖を発達史的・力動的に考察した。抜毛癖は,それ自体としてはSolomonが爪かみについてのべた攻撃一否定一自己懲罰循環と同じ機制を有しており,未熟で対人的に閉鎖された人格が,ある程度の対人関係を強制されるような時期,つまり小〜中学校ごろにあらわれ,この症状自体がさらにいつそうの退行をうながす傾向のあることをのべた。かかる個体発生の見地からの考察のほか,元来母性愛の欠乏に由来すると思われる孤独という要因と抜毛癖の結びつきについて,これが愛情葛藤の自己愛的形式を通じての表現と考えられることに言及し,最後にかかる見地を綜合した治療の可能性にふれた。
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