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私は去年の4月10日に羽田を発つて米国に約3ヵ月,欧州に約2ヵ月半の旅をおくり,9月20日に帰国しました。この旅行の主目的がモントリオールおよびローマで開かれた国際的な精神医学および神経学の学会への出席を兼ね,欧米の児童精神医学の状況を視察することにありましたので,そのレポートを本誌の編集氏に求められました。
米国ではChina Medical Boardの紹介で,医科大学のbest tenといわれるUniversity of California at Los Angels,U. of Calif. at San Francisco,Univ. of Illinois,Univ. of Chicago,Johns Hopkins Univ,Haverd Univ,Yale Univ,Univ. of Pennsylvania,Columleia Univ,Cornel Univ,の児童精神科を訪ねましたが,そのうちUniv. of Pennsylvaniaをのぞく他の9大学にはいずれも,児童精神科の専任教授(中には助教授その他のstaff)がおかれていて,外来,病舎も立派で,単に学生に対する教育のみでなく,精神科および小児科の専攻研究生は4年の修練期間のうち4ヵ月ないしは8ヵ月は児童精神科の勤務が義務づけられておりました。このことはこの国の児童精神医学会およびその機関雑誌の活動がめざましく,モントリオールにおける世界精神医学会においても61の分科会中,4つの分科会がChild Psychiatryで占められていた事実とともにわれわれ日本の児童精神医学者にとつて印象的でありました。その他,この分野で世界的に有名なBostonのJudge Baker Clinic,Puttnum ClinicやPhiladelphiaのChild Guidance Clinic, New Yorkの研究所なども訪ねてみましたが,いずれもそのいきとどいた組織設備に驚きました。
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