Japanese
English
研究と報告
同胞性分裂病についての知見補遺
Beitrag zur Geschwisterpsychose
柴田 洋子
1
,
矢吹 賀江
1
Y. Shibata
1
,
Y. Yabuki
1
1東邦大学神経精神医学教室
1Dept. of Neuro-Psychiatry, Tōhō University, School of Medicine
pp.381-390
発行日 1961年5月15日
Published Date 1961/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405200327
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Ⅰ.序文
種々な分裂病の遺伝研究の一助として,同胞性精神病Geschwisterpsychoseの研究も1910年前後より拾頭してきた。まず同胞の罹患した疾病が同種のものであるか否か,という問題提示とともに病像の比較が行なわれ,1961年1)にRiebethが同胞間で罹患した分裂病と循環性精神病の観察を行なつている。このほかRüdin(1916年),Hoffmann,Moser2),Schrijer,Wildermuth,Galacjn3),Courbon,Human4),C. Rongo5),A. G. Ambroumova,P. Bour,G. Elsässer6),などが,統計的観察のほか貴重なる症例研究をも含めて数々の報告を残している。わが国では中川7)が自験例について報告しており(1936年),さらに満田8)の豊富なる症例研究や,同じく満田の類別に準拠して分裂病異種性の観点より家族の性格像を論じた久山9)の研究がある。近年伊東10)は同胞分裂病の経過と治療効果について報告している。このように該分野の研究は多方面にわたつて踏尽されている観があるが,なお病像の個々の点について考察する余地があると考え,とくに病状の中でしばしばみられる妄想について若干の知見補遺を行なつた。さらに病像の比較の一助としてロールシャッハテストをこころみ,複雑な臨床像と性格特徴の交錯の中から同胞間の類似性を追究した。
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