Japanese
English
研究と報告
folie à deuxの1例—病因論的考察を主として
A case of "folie à deux", its etiological consideration
木戸 幸聖
1
,
李 熙洙
2
K. KIDO
1
,
H. LEE
2
1日本大学医学部神経科
2慶応義塾大学医学部神経科
1Dept. of Psychiatry, School of Medicine, Nihon University
2Dept. of Psychiatry, School of Medicine, Keio University
pp.793-799
発行日 1959年11月15日
Published Date 1959/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405200156
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精神障害,とりわけ妄想が,患者と親しい結びつきのある近親者にそのまま移入transferされ2人が同じ内容の妄想をもち,互いに支持しあい分ちあう場合,folie à deuxといわれる。この現象は1877年にLasègue,Falretによつてはじめて記載されたが,以来,Induziertes Irresein,contagion mentale,induced psychosis,associated psychosisなどの名でよばれ,成書には反応性精神病としてとりあつかわれている。そして,病因の特異な点や集団的な行動の異常性などから注目をひき,欧米の文献には比較的多数の報告例があり,ことに最近ではGralnickなどによつてfolie à deuxの概念の再検討もはかられている。しかしわが国では,ふるく昭和3年,杉原氏の「感応性精神病ノ知見補遣」と題する論文があるだけで,その後には,症例の報告や新しい概念の紹介もないようである。
われわれは,定型的な本症例を経験する機会をえたので,妄想発展の様相をあとづけ,加えて病因論的検討を試みたい。
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