Japanese
English
研究と報告
DMAE(2-Dimethylaminoethanol)の使用経験
Clinical Application of DMAE (2-Dimethylaminoethanol)
広沢 道孝
1
,
井上 令一
,
森 ひとえ
,
山口 昭平
M. HIROSAWA
1
1順天堂大学医学部精神神経科教室
1Dept. of Neuro-Psychiatry, Junten-do Medical College
pp.737-742
発行日 1959年10月15日
Published Date 1959/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405200148
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Ⅰ.まえがき
2-dimethylaminoethanol(DMAE)がcholineの前駆物質であり中枢神経系に対し賦活的な薬理作用を示すことは既にPfeiffer, Jennyなど1)の各種実験報告にみられるところである。彼らははじめ副交感神経作動物質であるacethylcholineが中枢神経系に対し賦活的に働くことを考えていたが実験結果は期待した効果をえることができなかった。これはおそらくmethacholineやacethylcholineなどの等Ⅶアミンが脳血管関門(bloodbrain barrier)を通過し難いことによるためと推測し,第Ⅲアミンであるこのcholineの前駆物質(DMAE)を試用し,ようやく所期の効果をえることができた。そしてこの前駆物質は脳血管関門を越えてから細胞内にてacethylcholineに変えられ中枢神経系の刺激作用を表わすものと予想している。
またcholineが本来生体内に存する物質であることから予測されるごとくDMAEの毒性は極めて低いことが検証されている。すなわちJennyなど2)によるとそのLD50はマウスに対する経口投与では3.1±0.16g/kg,ラッテでは2.6±0.1g/kgであり,Gourzisなど3),4),5)は犬を用いて1日量70mg/kgを6ヵ月間連日経口投与を続けたが血液像,尿所見は正常であり,心臓血管系機能とECGおよび組織学的検査のいずれにも異常所見を認めなかつたと報じている。
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