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“He is paranoid”
諏訪 望
1
1北大精神神経科
pp.120-121
発行日 1959年2月15日
Published Date 1959/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405200063
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精神医学には,あまりにも広場が多すぎる。精神医学に志すすべての人々が集まつて,同じコトバで話しあえる広場がないものだろうか。ちかごろは,アメリカの精神医学とかドイツの精神医学とかそれぞれの強い主張の声もだいぶおさまつてきたようであるが,もともと私たち日本人が,そんなに他人の看板をかつぎ廻らなければならないとしたらまことに情ないことである。
戦後,日本を訪れたアメリカの精神医学者のいく人かが,日本の精神医学を紹介しているが,そのほとんどが限られた見聞にもとついた,かなり偏つたものであることを,私たちはよく知つている。それと同じことが,少なくとも私自身には当てはまるような気もする。公正な見方といつても,それは自分にまつわりついているものにたいする愛着を絶ちえない“人間”を通してのことであるから,かなりのずれやくい違いが生じてくることはやむをえないであろう。それだけに精神医学はlebensnaheな学問であるといえるのかもしれない。
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