ホスピタルトピックス 特殊病院
精神病床拡充への提案
岩佐 金次郎
1
1慶大神経科
pp.94
発行日 1966年6月1日
Published Date 1966/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541202876
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厚生省が昭和39年12月末日現在で実施した医師,歯科医師,薬剤師届出調査および医療施設調査の結果が,このほど発表された。これによると,精神科を標榜している医師493人,同じく施設480で,ともに38年の同様な調査に較べて,9.6%の増加となっている。わが国では神経科を標榜する医師,施設ともに,内容があいまいで,いわゆる精神科医が,神経科医をもとなえている例があり,また,神経科のみといっても,実際は精神科医としての診療を行なっている医師がいる。施設の場合も,同様である(診療所に特に多い)から,両科をあわせた教(神経科を標榜している医師149人,施設149,増加率43.3%)が精神障害者を診療している医師および施設数に近い実情と判断して,大差あるまい。精神病床総数は153,639床で,前年比17,252床増加している。これらの増加は,数年前に較べて,かなり多数であり,39年調査でみても,この増加率は他科に比して,格段に高い。それにもかかわらず,治療を要する精神障害者は,なお多く放置されている。大都会の精神病院は,超過率10〜30%というところがすくなくない。今後も増床を必要とする状況にある。
ところで,最近の新設病院ないし病棟,あるいは新設診療所をみると,それらの構想に十分な検討が加えられたと判断される点がすくない。精神分裂者の社会復帰を図るために,作業場や遊戯場が設けられていても,形式的にすぎるようだ。
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