オピニオン マインドフルネス/アクセプタンス認知行動療法と森田療法
アクセプタンス・コミットメント・セラピー(ACT)は本当に森田療法と似ているのか?
黒木 俊秀
1
1国立病院機構肥前精神医療センター
pp.348-351
発行日 2012年4月15日
Published Date 2012/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405102146
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マインドフルネスと「あるがまま」
マインドフルネス(mindfulness)に着目した精神療法の一派―マインドフルネス・ストレス低減法,弁証法的行動療法,マインドフルネス認知療法等々―は,認知行動療法(cognitive behavioral treatment;CBT)の新しい動きとして「第三の波(the third wave)」と呼ばれる。
わが国に「第三の波」CBTが紹介されたのは,1990年代後半であったが,その「現在の瞬間になんら価値判断を下さずに注意を向け,ありのままに受け入れる」というマインドフルネスとアクセプタンス(acceptance)の治療原理は,わが国の森田療法家の関心を集めた。いうまでもなく,「あるがまま」という森田療法のテーゼときわめて似通っていたからである。一方,「第三の波」CBTがマインドフルネスのトレーニングのためにしばしば用いる瞑想法に対しては,現代の森田療法が外来治療に主軸を移しており,伝統的な森田療法ほどには禅との関係を意識していないため,戸惑いがあった。
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