Thiamine大量療法後に幻覚妄想状態が改善した非アルコール性Wernicke脳症の1例

A Case of Successful Treatment with High Dose Thiamine for Psychotic Symptoms Associated with Non-alcoholic Wernicke's Encephalopathy

はじめに

　Wernicke脳症は，眼球運動障害，失調性歩行，意識障害を3主徴とし，病理学的には乳頭体，第3脳室，中脳水道，第4脳室周辺の灰白質に対称的な仮性脳炎性組織変化を来す⁸⁾。Thiamine欠乏が原因であり，Wernicke脳症が疑われた場合は早急にthiamine大量療法を行う必要がある⁸⁾。今回我々は，thiamine大量療法後に幻覚妄想状態の改善を認めた非アルコール性Wernicke脳症を経験したので報告する。なお，症例の匿名性に十分配慮し，病歴の修正を行った。