Japanese
English
短報
Biperiden筋肉注射によってせん妄を認めた1例
The Case of Delirium Induced by Intramusucular Administration of Biperiden
松原 桃代
1
,
須基 早紀子
1
,
山口 大輔
1
,
加藤 悦史
1
,
深津 孝英
1
,
兼本 浩祐
1
Momoyo MATSUBARA
1
,
Sakiko SUMOTO
1
,
Daisuke YAMAGUCHI
1
,
Etsushi KATOU
1
,
Takahide FUKATSU
1
,
Kousuke KANEMOTO
1
1愛知医科大学精神科学教室
1Department of Neuropsychiatry, Aichi Medical University, Aichi, Japan
キーワード:
Biperiden
,
Side effect
,
Hypoactive delirium
,
Less sedating antipsychotics
,
Aripiprazole
Keyword:
Biperiden
,
Side effect
,
Hypoactive delirium
,
Less sedating antipsychotics
,
Aripiprazole
pp.803-806
発行日 2011年8月15日
Published Date 2011/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405101950
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はじめに
せん妄は,日常活動に意識および認知機能,知覚や思考に多大な影響,損失を与える精神症状である。せん妄の直接原因の1つとして薬剤性が挙げられる。精神科領域での原因薬剤としては抗パーキンソン病薬,睡眠導入剤,抗精神病薬,抗うつ剤などがある。抗コリン性抗パーキンソン病薬biperidenが薬剤誘発性せん妄の原因薬物であることはよく知られている。しかし,日常臨床ではbiperiden投与とせん妄の発生を明確に関連づけることができる症例に遭遇することは意外に少ない。また,我々の検索結果では,症例報告13)も少なかった。せん妄は日常活動に意識および認知機能,知覚や思考に多大な影響,損失を与える精神症状であり,薬剤性せん妄は一過性といえども重大な副作用である。今回,うつ病エピソード中に認められたアカシジアに対し,biperiden筋肉注射を行ったところ,1時間後に激しいせん妄状態を呈した1例を経験した。この低活動型せん妄と診断した症例を報告する。
なお報告にあたっては,文書にて本人の同意を得た。また個人情報が特定されないように症例の内容を一部変更した。
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