Japanese
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展望
統合失調症の研究の歴史と意識野からみた症状発生の機序
A History of Research and Cause of Clinical Symptoms in Schizophrenia from the Aspect of Awareness
宮川 太平
1,2
Taihei MIYAKAWA
1,2
1天草病院病院
2熊本大学
1Amakusa Hospital, Amakusa, Japan
2Kumamoto University
キーワード:
Schizophrenia
,
History of research
,
Awareness
Keyword:
Schizophrenia
,
History of research
,
Awareness
pp.626-637
発行日 2011年7月15日
Published Date 2011/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405101913
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はじめに
統合失調症(精神分裂病)は発症率の高さ,発病年齢,症状の多彩さなどのいずれを取ってみても精神医学の領域の中でも最も重要な疾患である。にもかかわらず原因はいまだ不明であり,深い謎に包まれている。また診断についてもそれぞれの医師が自分の診断基準を持って診断しているものと思われる。しかし,精神症状自体が抽象的であることから,その診断は普遍的でないとする意見もある。
統合失調症に関する研究の歴史はかなり長い。しかし,臨床・基礎研究においていまだに飛躍的な進歩はみられていない。最近ではプロテオミックスの技術を駆使して研究18)が行われており,統合失調症のマーカーを効率的に同定しようとする試みである。これはこれまでの多因子的な仮説を統合しようとすることを目的としたものと考えられる。しかし,原因に迫る革新的研究への道程はまだ遠いように思える。1980年代には神経発達障害仮説が提唱されたが,これも推測の域にとどまっている。
本稿では統合失調症の過去の研究の歴史の概要を私見を交えて振り返り,筆者が50年にわたって臨床を通して得た「症状発生の機序」を中心として述べ,多彩な症状をどのように考えるべきかについて意識の病理学の立場から述べてみたい。
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