巻頭言
適切な医療提供を
中島 豊爾
1
1地方独立行政法人岡山県精神科医療センター
pp.1148-1149
発行日 2010年12月15日
Published Date 2010/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405101743
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私が現在の岡山県精神科医療センターの前身である岡山県立岡山病院の院長として赴任し,早や13年目に入った。10年目の2007年4月,私からお願いして,病院の運営形態を地方独立行政法人に変更していただいた。当初,地方公営企業法財務一部適用の病院長として,たとえ利益が出るとわかっていても,1人の職員の採用さえ自由にできず,艱難辛苦を舐めさせていただいた。県庁の敷地に入れば,腰は15度屈め,わずかでも見たことがある人には米搗きバッタのようにおじぎをし,部長・課長はもとより,係長にも愛嬌を振りまいてきた。しかしこれが苦痛であったわけではない。むしろ病院にとってわずかでもよいことがあれば,そのことが嬉しくて仕方がなかった。そして,わずか7~8名の医師はゾンビのようになっても働き続けてくれた。そのおかげで現在の病院があるのである。本当に感謝している。現在,医師は3倍の24名となり,看護師も倍増し,コメディカルは6倍となった。
地方独立行政法人になってからは,理事長として自分で自分を院長に任命していたが,今年の4月に63歳で名誉院長になり,院長には年上の尊敬する内科医(元総合病院院長)に来ていただいた。単科の精神科病院という他科の目の入らない病院を,内科医の目で,そして総合病院の立場から見直してほしかったからである。たとえ単科の精神科病院といえども,標準以上の身体的医療を提供しなければ,病院の名に値しないと考えている。
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