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私のカルテから
他剤での治療が困難であったBPSDに対し,blonanserinが有効であった2例
The Effect of Blonanserin on Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia (BPSD) in Two Demented Cases
品川 俊一郎
1
,
中山 和彦
1
Shunichiro SHINAGAWA
1
,
Kazuhiko NAKAYAMA
1
1東京慈恵会医科大学精神医学講座
1Department of Psychiatry, Jikei University School of Medicine, Tokyo, Japan
pp.823-825
発行日 2010年8月15日
Published Date 2010/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405101686
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はじめに
認知症患者では記憶障害や見当識障害などの認知機能障害のみならず,幻覚,妄想,興奮,攻撃的言動といった症状が出現する。これらの症状はBPSD(behavioral and psychological symptoms of dementia,認知症の行動心理学的症候)と呼ばれる。
BPSDは介護者の負担を増大させ,入院や入所の時期を早める原因ともなるため1),そのマネージメントが重要である。薬物治療においては,高齢患者に対する副作用の少なさから,近年は非定型抗精神病薬が多く用いられる。しかし,2005年にFDA(Food and Drug Administration)が高齢認知症患者のBPSDに対する非定型抗精神病薬の使用についての勧告をしたため,非定型抗精神病薬の使用を控える動きもあり,依然としてBPSDに対する薬物療法のエビデンスは確立していない。
今回我々は,他の薬剤で治療が困難であったBPSDに対し,非定型抗精神病薬であるblonanserinを投与したところ改善を認めた2例を経験した。これまでに同剤によるBPSDの治療に関する報告は少ないため,若干の考察を加えて報告する。なお,症例の記載にあたり患者個人が特定されないよう配慮し,症例理解が損なわれない範囲で一部改変した。家族に適応外使用である旨を説明したうえで,同意を得て薬剤を使用した。本報告は一般企業・団体との関連はなく,利益相反は生じない。
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