Japanese
English
私のカルテから
塩酸ドネペジルによる精神症状・行動障害の悪化が疑われた前頭側頭型認知症の1例
A Case of Frontotemporal Dementia whose Behavioral Problems were Worsened by Donepezil
品川 俊一郎
1
,
中山 和彦
1
Shunichiro SHINAGAWA
1
,
Kazuhiko NAKAYAMA
1
1東京慈恵会医科大学精神医学講座
1Department of Psychiatry, Jikei University School of Medicine, Tokyo, Japan
pp.689-691
発行日 2009年7月15日
Published Date 2009/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405101456
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
- サイト内被引用 Cited by
はじめに
前頭側頭型認知症(frontotemporal dementia;FTD)は前頭葉と側頭葉の前方部に変性を有する認知症である8)。初老期に発症する変性性認知症としてはアルツハイマー病(AD)に次いで多いとされ,病初期から前頭葉機能の障害に伴う特徴的な精神症状や行動障害を呈し,介護者の負担が非常に大きい疾患である。今回我々は前医によりADと診断されて塩酸ドネペジルを投与されていたが,後にFTDであることが明らかとなり,塩酸ドネペジルの中止により精神症状・行動障害(BPSD)が改善した1例を経験した。そこで,FTDの薬物療法とアセチルコリンエステラーゼ阻害薬(AchEI)との関連に関して若干の考察を加えて,ここに報告する。記載にあたり患者個人が特定されないように配慮し,症例理解が損なわれない範囲で内容の一部を改変した。
Copyright © 2009, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.