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特集 児童期における精神疾患の非定型性―成人期の精神疾患と対比して
子どもの精神疾患の臨床像をどうとらえ得るか?―児童精神医学と成人精神医学の双方向の視点
Symptomatology and Diagnosis of Childhood Psychiatric Disorders:Two-way interplay between adult and child psychiatry
岡田 俊
1
Takashi OKADA
1
1京都大学大学院医学研究科精神医学分野
1Department of Neuropsychiatry, Kyoto University Graduate School of Medicine, Kyoto, Japan
キーワード:
Child psychiatry
,
Symptomatology
,
Diagnosis
Keyword:
Child psychiatry
,
Symptomatology
,
Diagnosis
pp.431-432
発行日 2010年5月15日
Published Date 2010/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405101622
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- Abstract 文献概要
子どものこころの問題は,従来,不登校やひきこもり,非行や家庭内暴力といったように,行動上の問題を切り口として分類されることが多かった。そして,児の抱える問題は,その児が養育されてきた家庭,学校,地域社会とのかかわりのプロセスの中で理解され,児に対するかかわりと同様に家族への介入,児を取り巻く家族や学校との調整が重視されてきたのである。そのため,子どもの表現する「問題」が,個々の家族や学校の抱える問題の表現であったり,その時代の社会構造の反映であると考えられることもあった。
このことには,過去も現在も相違はない。しかし,このような視点で概念化した場合,一人ひとりの児の抱える問題は,家庭,学校,社会の問題に一般化されるか,個別の問題として臨床の治療者との関係性の中に埋没するか,という乖離を生み出しやすい。とりわけ,一世を風靡した「不登校」問題は解体され,学校を含めた社会の問題としてとらえられるか,あるいは,子どものうつなどの疾患レベルの問題として解されるようになり,今なお臨床的に重大な問題であるにもかかわらず,精神医学の中心的テーマとして扱われなくなっていくのである。
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