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児童思春期発症の統合失調症の動向と薬物療法について―奈良県立医科大学精神科児童思春期外来の統計から
Trends of Early-onset Schizophrenia and Antipsychotic Medication:A statistical study of child and adolescent outpatient clinic at the psychiatric department in Nara Medical University
村本 葉子
1,2
,
根來 秀樹
2
,
飯田 順三
3
,
澤田 将幸
2
,
太田 豊作
4
,
岸本 年史
2
Yoko MURAMOTO
1,2
,
Hideki NEGORO
2
,
Junzo IIDA
3
,
Masayuki SAWADA
2
,
Toyosaku OTA
4
,
Toshifumi KISHIMOTO
2
1市立岸和田市民病院精神神経科
2奈良県立医科大学精神医学教室
3奈良県立医科大学医学部看護学科
4下市病院
1Department of Psychiatry, Kishiwada City Hospital, Kishiwada, Japan
2Department of Psychiatry, Nara Medical University School of Medicine
3Nara Medical University School of Medicine Faculty of Nursing
4Shimoichi Hospital
キーワード:
Early-onset schizophrenia
,
Statistical study
,
Atypical antipsychotic drugs
Keyword:
Early-onset schizophrenia
,
Statistical study
,
Atypical antipsychotic drugs
pp.71-77
発行日 2010年1月15日
Published Date 2010/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405101558
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はじめに
近年わが国では,少子化の流れで18歳以下の人口は減少しているにもかかわらず,精神科を受診する児童思春期患者の数は増えている11)。なかでも,注意欠如・多動性障害(attention deficit hyperactivity disorder:以下ADHD)や,広汎性発達障害(pervasive developmental disorders:以下PDD)などの発達障害圏の増加を示す報告が多い11)。一方統合失調症に関して,一部の先進国で発症率や有病率の減少が報告されている10,13)ものの,今のところそれらに一致した見解は得られていない。また,統合失調症における初回入院患者の減少や外来レベルでの対応が可能な患者の増加など,質的な変化についても観察されるようになった2,13)。
今回我々は,児童思春期発症統合失調症の動向について,奈良県立医科大学附属病院精神科児童思春期外来の統計を用い検討した。奈良県立医科大学附属病院精神科は1989年9月から児童思春期外来を開始し,現在では週に3回,児童思春期患者の診察を行っている。
さらに今回は,児童思春期統合失調症患者への薬物療法にも注目し検討した。近年非定型抗精神病薬の登場とともに統合失調症の薬物療法も大きく様変わりしたが,現在までに児童思春期患者における評価が十分にされているとは言い難い。当院における抗精神病薬使用状況に関しても同時に報告する。
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