書評
―切池信夫 著―摂食障害―食べない,食べられない,食べたら止まらない(第2版)
古川 壽亮
1
1名古屋市立大学大学院精神・認知・行動医学
pp.818
発行日 2009年8月15日
Published Date 2009/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405101479
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日々工夫を重ねる専門家の臨床経験に学ぶ
大阪市立大学大学院神経精神医学教授,切池信夫氏の名著『摂食障害―食べない,食べられない,食べたら止まらない』の第2版が出版された。2000年に出版された初版のタイトルを見たとき,「なんと上手にエッセンスをサマライズしたサブタイトルなのだろうか」と,その洒脱さに脱帽し,そこに至る背景にあるに違いない臨床経験の厚みにひそかに感嘆した。そしてその数年後,大阪市大を訪問して切池先生と親しく話をさせていただき,「なるほど,この先生にしてこの名著あり」と,膝を打つ思いがしたことを今でも覚えている。その切池氏が,ライフワークとしてさらに研鑽を重ね,氏ご自身の第2版の序の言葉を借りれば「初版を上梓してから,日常診療において日々工夫を重ね実施している治療法を中心に改訂」されたのが,第2版である。
何を隠そう,私自身は摂食障害と聞くと,「う~~ん,大変そうだな」という考えがまず頭をよぎり,そこはかとなくいすの上で居住まいを正してからでないと患者さんに会えない,普通の全般精神科医であるが,そういう精神科医であるからこそ,本書とそのバックボーンとなっている大阪市大での臨床と臨床研究にさまざまな示唆をいただきながら日々の診療をさせてもらえる。
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