Japanese
English
研究と報告
精神分裂病の第一級症状(Schneider, K.)について
About First-Rank Symptoms (Schneidcr, K.) in Schizophrenics
荒木 憲一
1
,
太田 保之
1
,
中根 允文
1
,
高橋 良
1
Kenichi Araki
1
,
Yasuyuki Ohta
1
,
Yoshibumi Nakane
1
,
Ryo Takahashi
1
1長崎大学医学部精神神経科
1Department of Neuropsychiatry, Nagasaki University School of Medicine
キーワード:
New schizophrenics
,
Symptome 1. Ranges
,
Hören von Stimmen in der Form von Rede und Gegenrede
Keyword:
New schizophrenics
,
Symptome 1. Ranges
,
Hören von Stimmen in der Form von Rede und Gegenrede
pp.59-67
発行日 1984年1月15日
Published Date 1984/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405203702
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初診分裂病老93例におけるSchneidcrの第一級症状の出現頻度を欧米の諸報告と比較・検討し,症状の定義と評価の問題及び「Hören von Stimmen in der Form von Rede und Gegenrede」について考察してきたが,その要約は次のとおりである。
(1)第一級症状は分裂病老新鮮例の57.0%(不完全妄想+完全妄想)にみられ,欧米の報告とほぼ一致していた。分裂病診断の十分条件としての重みが現代ではSchneiderが主張したほどには高くないことがうかがわれる。
(2)第一級症状の出現率が妄想型に比べ破、型により少ない点から,近年指摘されている破型の寡症状化傾向が推察された。
(3)各第一級症状の陽性率に報告問でぼらきがみられたが,特に妄想知覚について考察「論理的二分節性」という明確な記述にもかからず,症状評価に際しては必ずしも実用的でなことに触れた。
(4)「Hören von Stimmen in der Form von Rede und Gegenrede」の解釈が欧米と日本で異なっていた背景には,日本人分裂病者の幻聴体験の特微的一面があったことを明らかにした。
今後,本邦においても標準化された構成面接による症状論的研究がなされることを期待するとともに,かつ「対話性幻聴」に関する比較文化精神医学的研究の必要性があると考える。
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