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特集 精神医学的コミュニケーションとは何か―精神科専門医を目指す人のために
認知療法の立場から
Interpersonal and Communication Skills: From the point of view of cognitive therapy
大野 裕
1
Yutaka ONO
1
1慶應義塾大学保健管理センター
1Keio University, Health Center, Tokyo, Japan
キーワード:
Communication skills
,
Cognitive therapy
,
Socratic dialogue
,
Cognition
Keyword:
Communication skills
,
Cognitive therapy
,
Socratic dialogue
,
Cognition
pp.35-40
発行日 2008年1月15日
Published Date 2008/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405101151
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はじめに
精神医学的コミュニケーションについて認知療法1,2)の立場から論じるが,本稿で書くコミュニケーションのあり方は,必ずしも認知療法に限ったことではなく,精神医学的コミュニケーション一般に共通するものであると考えている。それは,認知療法が特別なアプローチではなく,あくまでも常識的なかかわりを重視するためである。それはまた,患者の気持ちに共感しながら,患者が主体的に自分の認知や行動に目を向け,その適応的な部分を修正して,問題に対処していく力を引き出し,伸ばすことを目的とするものである。このような基本的な姿勢があるからこそ,認知療法は種々の精神疾患に効果的であることが実証されている4)のだと考えることができる。
私たち精神科医は,情緒的な苦しみを感じている人を治療の対象とするが,情緒それ自体を操作して苦しみを軽減することはできない。そのために,認知療法では,認知を通して情緒に働きかける。したがって,そのアプローチは特殊なものではなく,一般の精神医学的面接で活用可能なものであると,私は考えている。そうした理解に基づいて,以下に認知療法的なコミュニケーションについて概説することにしたい。
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