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編集後記
K. Y.
pp.208
発行日 2008年2月15日
Published Date 2008/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405101145
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最近,新任教員の自殺がしばしば報道されている。1例をあげると,新任教員として公立小学校に赴任し2年生を担任したA先生が,アパートの自室で首つり自殺を図った。深夜に及ぶ保護者からのクレームへの対応に追われ,実質的な超過勤務時間が1か月に100時間を超える状況であったという。A先生は母親へのメールで,「毎日深夜まで保護者から電話が入ってきたり,連絡帳でほんの些細なことで苦情を受けたり…つらいことだらけだけど…泣きそうになる毎日だけど…」と疲弊した心情を綴っていたという。
モンスター・ペアレントという言葉がある。これは研修組織「TOSS」の代表者である向山洋一氏が,学校に理不尽な要求を突きつける親のことを怪物にたとえて名づけた和製英語であるといわれている。アメリカでは,1991年頃からヘリコプター・ペアレント―学校の上空を旋回しながら,常に自分の子どもを監視し,何かあればすぐに学校に乗り込んでくる親―が問題になっていた。日本におけるモンスター・ペアレントは,1990年代後半から目立つようになった。医療機関でも同じような現象がみられ,モンスター・ペイシェントと呼ばれている。2007年8月に行われた読売新聞社の調査では,2006年度の1年間に医師や看護師などの医療従事者が,患者や家族から暴力を振るわれたケースは,少なくても430件あり,理不尽なクレームや暴言は990件あったという。このために,警察官OBを雇って患者への応対に当たらせている病院が21,暴力行為を想定した対応マニュアルを作成した病院が10であったという。院内暴力を早期発見するために監視カメラや非常警報ベルを設置した病院もある。
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