書評
―小濱啓次編著―救急マニュアル(第3版)―救急初療から救命処置まで
益子 邦洋
1
1日本医科大学千葉北総病院救命救急センター
pp.219
発行日 2007年2月15日
Published Date 2007/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405100981
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救急医療における道しるべとなる良書
川崎医科大学名誉教授として,現在も救急医療の最前線で活躍しておられる小濱啓次先生の編著による「救急マニュアル―救急初療から救命処置まで」が初版から22年を経てこのたび大改訂された。この間の救急医学の進歩には目を見張るものがあり,数多くの新知見を随所に盛り込んだ最新作が世に出されたわけである。
小濱教授はわが国で最初の救急医学講座教授であり,それまでわが国の医学医療の中でまったくと言ってよいほど省みられることのなかった救急医学の学問体系を構築し,救急医のアイデンティティ確立に尽力されてこられた。その意味では,本書の第1版はまさに救急医学のスピリットをふんだんに盛り込んだ名著であり,救命救急センターや救急部で働く若手医師にとってのバイブルであったとも言えよう。従来の各科対応型救急医療では対応できない重度外傷,広範囲熱傷,急性中毒,心肺停止,多臓器不全の患者を前に,手探りでスタートしたわが国の救急医療において,まさに道しるべの役割を果たしてきた。筆者が救命救急センターに配属となり,次から次へと搬送されてくる各種病態の患者対応に苦慮したとき,貪るようにして本書から情報を得ていたことが昨日のことのように思い出される。
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