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本書(Ben Polis:Only A Mother Could Love Him:Attention Deficit Disorder)は,オーストラリアの大学1年生である著者の自叙伝の章と,ADHDについての本人の考えの章とから構成され,自叙伝の章は特に興味を惹く。というとADHDの優等生のようだが,実際には6回も学校を変わった強者である。彼の問題行動にはそれぞれの年齢の心理特性がADHDによって強調されているのがわかる。
徴候は2歳前後に現れており,3歳すぎから好奇心のままに,また,独りで頭に乗って大騒ぎを繰り返し,大事を起こしている。LD(学習障害)の部分としては国語・算数が苦手で,単語は意味を想い浮かべるだけで発音できなかった。ofの綴りをovと書いたりしていたが,先生が一つ一つ辛抱強く読み方を教えてくれ,基礎単語を憶えてからは急速に進歩して集中して読めるようになったと記している。2回目の退学後の新しい学校での5年生もピエロのように振舞い,みんなに注目されるのが好きで“受け”を狙っていろいろと問題を起こした。フットボールを楽しむようになると,両親や先生への怒りを走り回ることで解放したこともあって学業成績も伸びたが,6年生では行動が悪化して友だちや両親,姉への攻撃が続いた。すでに8歳の時にADHDと診断されているが,12歳の時にmethylphenidateを処方され,認知行動療法について教わり,衝動性や怒り,集中力のなさを克服するために自分自身をコントロールすることを学ばねばならないことを知った。8年生になって200m競争を始め,次々とスポーツ競技で勝ち,みんなから敬服されるようになってからはトラブルを起こさず,成績も平均点をとった。
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