Japanese
English
研究と報告
神経遮断薬誘発性遅発性ジスキネジアのクエチアピンによる治療
Treatment of Neuroleptic-induced Tardive Dyskinesia with Quetiapine
高橋 三郎
1
,
大曽根 彰
1
,
磯野 友厚
1
,
塩入 俊樹
2
Saburo TAKAHASHI
1
,
Akira OSONE
1
,
Tomoatsu ISONO
1
,
Toshiki SHIOIRI
2
1埼玉江南病院
2新潟大学大学院医歯学総合研究科精神医学分野
1Saitama Kounan Hospital
2Niigata University Graduate School of Medical and Dental Sciences
キーワード:
Tardive dyskinesia
,
Neuroleptic-induced movement disorders
,
Quetiapine
,
Chronic schizophrenia
,
Extrapyramidal symptoms
Keyword:
Tardive dyskinesia
,
Neuroleptic-induced movement disorders
,
Quetiapine
,
Chronic schizophrenia
,
Extrapyramidal symptoms
pp.49-57
発行日 2004年1月15日
Published Date 2004/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405100414
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抄録
非定型抗精神病薬のうちquetiapineはclozapineに類似し,低力価,鎮静系で,D2受容体遮断作用が極めて弱いため,特に錐体外路症状の出やすい症例に使用できると言われる。この2,3年,神経遮断薬,特に定型抗精神病薬服用中に遅発性ジスキネジアを発症した症例にquetiapineが有効であったという症例報告がみられ,今日まで合計11例の症例が報告されている。この治療効果を確認するため,50,60歳代の入院患者8例(うち7例は慢性統合失調症)に対し従来の抗精神病薬をquetiapine50~750mg単剤に置き換え,異常不随意運動評価尺度(AIMS),錐体外路系副作用尺度(ESES),簡易精神症状評価尺度(BPRS),欠損症候群評価尺度(SDS)などの評価尺度を用いて3か月にわたって症状の変化を評価した。
投薬開始1か月以内にAIMSが50%以上改善した者は5例あったが,うち2例は陽性症状悪化のため2か月後quetiapineの投与を中断した。ほかは3か月の投薬期間でジスキネジア症状の再燃がなく,また陽性,陰性症状の悪化もみられなかった。
Quetiapineは,神経遮断薬誘発性遅発性ジスキネジアという患者の苦痛を軽減し,QOLを改善するために有用性のある薬物と思われる。
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