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私のカルテから
ペロスピロンへの置き換えによって高プロラクチン血症が改善した統合失調症の1例
A Case of Schizophrenia with Hyperprolactinemia Improved by Switching to Perospirone
勝瀬 大海
1,2
,
都甲 崇
2
,
小阪 憲司
2
,
平安 良雄
2
Omi KATSUSE
1,2
,
Takashi TOGO
2
,
Kenji KOSAKA
2
,
Yoshio HIRAYASU
2
1横浜舞岡病院
2横浜市立大学医学部精神医学教室
1Yokohama Maioka Hospital, Yokohama, Japan
2Yokohama City University School of Medicine
pp.1025-1027
発行日 2006年9月15日
Published Date 2006/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405100319
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はじめに
近年,リスペリドンやペロスピロンといったセロトニン・ドーパミンアンタゴニスト(SDA)に代表される第二世代(非定型)抗精神病薬がいくつか使用されるようになり,統合失調症の薬物療法における選択肢は格段に広がった。また,SDAは従来の第一世代(定型)抗精神病薬に比べ錐体外路症状などの副作用の発現率が低く,統合失調症治療の第一選択薬として用いられることが定着している。さらに,最近では新規抗精神病薬間の副作用の発現率の相違についての報告も多数みられるようになり,多くの症例で副作用の発現を最小限に抑えながらよりよい治療効果を得ることが可能となりつつある。
錐体外路症状以外の抗精神病薬による副作用の1つとして,高プロラクチン血症が知られている。高プロラクチン血症は無月経,乳汁分泌を引き起こすことから,特に女性患者においては服薬コンプライアンスの低下につながることが多い。最近,我々はペロスピロンがリスペリドンに比して高プロラクチン血症を起こしにくいことを報告した3)。
今回,この結果を治療の場で応用し良好な治療経過を得ることができた統合失調症の1症例を経験したので若干の考察を加え,ここに報告する。なお,本症例は発病後に妊娠・出産を経験しており,統合失調症患者の出産とその問題点と対応についての私見も加えた。
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