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はじめに
2004(平成16)年4月より新医師臨床研修制度が始まり,今年の4月より2年間の臨床研修を終えて後期研修に入った。ここでこれまでの経由について少し触れておきたい。
2002(平成14)年に精神科の臨床研修が必修となることが決定されたが,それもぎりぎりのところでの攻防の末やっと必修化されたという経過がある。その際,日本精神科病院協会(日精協)では,今後の精神科医の育成と他科志望の研修医にも精神科および患者さんについてもよく理解をしてもらい身体合併症を持つ精神疾患の患者さんを嫌がらずに受け入れてもらえるようにするためには,どうしても臨床研修の必修化が必要であるとして積極的に活動した経過がある。一方大学の講座担当者の一部でこの必修化について消極的であったことは不思議でならない。そういった危機的背景もあって,精神科における臨床研修についてもきちんとした指導体制をとり,研修医から精神科の研修をしてよかったという評価を得るようにしなければ次回の見直しにおいて研修の必修科目から外される恐れがあるという危惧を抱いたところである。このため,2002(平成14)年10月に精神科臨床研修についての精神科七者懇談会によるシンポジウムを日本医師会の星常務理事(当時)の協力によって日本医師会館で開くことができた。そして臨床研修指導医講習会を精神科単独で行うことを決め,日精協が事務局となり精神科七者懇談会の主催で行うこととなり,各地で講習会が開かれたのは周知のことである。
この新医師臨床研修制度のスタートによって2年間の実質的な現場への医師の供給が停止し,医師の派遣をしていた大学が医師を引き上げるところもあった。またこれまで大学各科医局に入局して専門科目の研修を行った後に各病院に派遣されていた,いわゆる医局講座制が,後期研修のためにどの程度の入局者があり,どの程度維持されるのかが大きく注目されるところであった。まだその全容は不明であるが,厚生労働省のアンケート調査や日精協のアンケート調査によってわかった概略について触れるとともに,今後の精神科臨床研修のあり方について触れてみたい。
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