書評
標準精神医学(第3版)
神庭 重信
1
1九州大学大学院・精神病態医学
pp.458
発行日 2006年4月15日
Published Date 2006/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405100260
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時代に即応し,しかも精神医学のロマンを伝える上質な教科書
編者と執筆者とが一体となって教科書作りを楽しんだ,そんな印象を与えるのが本書である。章による出来不出来や体裁の不統一が少ないうえに,分担執筆の強みが生きている。つまり,その領域を知り尽くしている専門家の手による,正確でしかも漏れのないテクストが端正な姿を見せ,しかも“厳選された”という執筆者の個性的主張がそこかしこに滲み出ているところがとてもよい。
本書には編者の工夫の跡が随所に見てとれる。たとえば各章は,頭に“学習目標”と“キーワード”が配置されている。これはちょうど地図を手渡されて,登ろうとしている山々の特徴を頭にいれておくようなもの,とでも言えようか。そして,それぞれの章は箇条書きからなる“重要事項のまとめ”をもって終わる。全体を理解しながら,細部を記憶しなければならない学生には嬉しい配慮である。
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