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書評「標準放射線医学 第3版」
小塚 隆弘
1
1大阪大学
pp.841
発行日 1988年8月25日
Published Date 1988/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403108323
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X線撮影だけが生体の形態学的,機能的情報を描写する検査法であった時代から核医学,超音波,CT,MRIなど方法が多様化し,診断の精度が向上し,放射線診断学から発展的に画像診断学と総称され,臨床医学の中で大きな位置を占めるようになったことは今さら言うまでもないことである.放射線治療も同様に高エネルギー放射線が普遍的に用いられ,成績が向上し悪性腫瘍治療の重要な方法の1つとなった.更に,手術,化学療法,温熱療法などの組み合わせにより,一層よい生存率が得られているのが現状である.単に放射線の生体内線量分布を的確にするばかりでなく,腫瘍の組織学的特徴,発生部位,大きさ,進展度などについての十分な知識を持ったうえで,各種の治療法を適正に組み合わさなければよい成果が挙げられないので放射線腫瘍学と名を変えた.そのうえ,診断も治療も非常な早さで技術が進歩し続ける.このような時代に良い教科書を作ることは大変難しいことと言わざるを得ない.
その観点から教科書のあるべき姿を考えてみると,診断なり,治療なりの技術のそれぞれについて正しく,わかりやすい説明と,人体の構造と機能および病態を画像学的に鮮明に,しかも,できれば三次元的に捉え,それを基本に病的パターンの解析から正ししい診断を下す方法が示されるべきである.
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