Japanese
English
特集 電気けいれん療法
電気けいれん療法の麻酔手技
Anesthetic Management of mECT
中井 哲慈
1
Tetsuji NAKAI
1
1国立精神神経センター武蔵病院麻酔科
1Department of Anesthesiology, National Center Hospital for Mental, Nervous and Muscular Disorders NCNP
キーワード:
Anesthesia
,
ECT
Keyword:
Anesthesia
,
ECT
pp.1225-1231
発行日 2005年11月15日
Published Date 2005/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405100140
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- サイト内被引用 Cited by
はじめに
安全で快適なECT治療のためには,現在行われているmECTとして,よく管理された状態でけいれんを誘発すべきである。すなわち酸素を吸入し,入眠させ,筋弛緩薬を使い,換気を行い,バイタルサインのモニターをしたうえでのけいれん誘発である。この中で,筋弛緩薬は,全身けいれんの合併症である骨折を予防するためであるが,呼吸も止めてしまうために,気道確保と人工呼吸が必要になってくる。また通電に伴い,心停止,高度徐脈,頻脈,高血圧,不整脈といった循環系の大きな変動が短時間ではあるが生じる。麻酔は,こういった症状を緩和する作用があるが,循環作動薬を適切に使用することが必要な場合がある。治療計画の段階から,循環器医,神経内科医,整形外科医,歯科医らの専門医の協力が必要になる場合がある。
我々の施設では,常勤の麻酔科医が着任した頃からmECTの件数は増加し始め,1995年度では8件であったが,2004年度は,1,361件であった(図1)。現在では麻酔管理でない従来型有けいれんのECTは行われていない。パルス波ECTが導入されてからは,シリーズの初回は全例でパルス波によっている。十分なけいれんが誘発されず治療効果が得られない場合にのみ,サイン波の通電がなされている。サイン波より遅れて臨床導入されたパルス波のECTは,エネルギー量が少なく,電流を保ったままパルス幅,周波数,通電時間を変えることにより,患者のけいれん閾値に合わせた出力を選ぶことができる。血圧や脈拍の変動は,パルス波でのECTで明らかに少なく,全身管理上安全であるということができる。
Copyright © 2005, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.