巻頭言
スティグマを克服するにはどうするのか
岩田 仲生
1
1藤田保健衛生大学医学部精神医学教室
pp.462-463
発行日 2005年5月15日
Published Date 2005/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405100060
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「DNAとプライバシー」と題するセミナーを医学部3年生対象に行っている。命題は,『ナチスドイツによるユダヤ人大量虐殺を肯定するものはいない(ただし当時の著名なドイツ人医師・医学者の多くは賛同協力していた)が,その理論的背景となった社会ダーウィニズム(医学・医療の発展は本来自然淘汰されるべき劣性の遺伝的要因を救済=反対淘汰が行われている)に諸君は現代医学を学ぶものとして明確に反論できるか?』というものである。問題提起と議論に必要な事項を提示した後,小グループに分かれてディベートを行ってもらう。生物学的存在と社会学的存在の統一である人間の未来に深くかかわるこのテーマについて,現在の人類の知見―特にゲノム医科学の進展の成果に基づいた理解を深めつつ人間の健康と生命をいかにとらえるかを学生諸君と議論する中で,常日頃大切だと考えていたことを改めて実感した。
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