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肺の構造を表す形態的表現として実質(paren—chyma)と間質(interstitium)とがある.肺実質は細葉(acinus)に相当しガス交換を営む領域と定義される.肺問質の大部分は肺胞隔壁(肺胞壁)によって占められ,肺胞上皮細胞と毛細血管内皮細胞の両基底膜によって囲まれた空間が肺間質と定義される1).肺胞隔壁を中心とした肺胞レベルに存在する肺間質は別名“実質性間質(parenchy—mal interstitium)”あるいは“細葉性間質(acinarinterstitiuln)”とも呼ばれる.この実質性間質は気管支・細気管支周囲間質,血管周囲間質,リンパ管周囲間質,胸膜間質ならびに小葉間隔壁と交通して間質のネットワークが肺全体に広がり肺構造を支持する組織を形成する.
この広範囲に存在する間質が傷害された病態を間質性肺疾患(interstitial lung disease)と呼称するが,間質性肺疾患は肺胞あるいは細気管支の上皮細胞側(気腔・気道内腔側)の傷害を始点とするものと肺毛細血管内皮細胞側(気腔外側)の傷害を起点として発症するものとに分類することができる2).前者に属するものには過敏性肺臓炎,塵肺など抗原・異物の吸入を原因として発症する間質性肺疾患があり,後者には膠原病肺を含む免疫関連肺疾患,薬物惹起性間質性肺疾患ならびに特発性間質性肺炎などが含まれる.肺胞・細気管支上皮細胞傷害を初発とする間質性肺疾患においては肺胞隔壁・細気管支壁(間質)ならびに周囲の肺構造物(実質ならびに間質)が二次的に傷害され,間質性肺炎(interstitial pneumonia)としての全体像ができあがる.血管内皮細胞側から傷害が始まる間質性肺炎にあっても肺胞上皮細胞の傷害を必ず伴い,肺胞上皮細胞傷害を初発とする間質性肺炎と同様の過程で炎症・線維化が進展する.
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