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Current Opinion
心不全の治療アンジオテンシン受容体拮抗薬とアンジオテンシン変換酵素阻害薬の相違
Treatment of Congestive Heart Failure:Comparison between ACE Inhibitor and AT 1 R Antagonist
安斉 俊久
1
Toshihisa Anzai
1
1慶應義塾大学医学部呼吸循環器内科
1Department of Internal Medicine, School of Medicine, Keio University
pp.613-618
発行日 2000年6月15日
Published Date 2000/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404902110
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■心不全治療をめぐる最近1年間の話題
最近における心不全治療の進歩は,神経体液性因子に対する修飾を中心になされてきた.心不全は,虚血性心疾患,心筋症,弁膜症などあらゆる疾患が原因となって生じるが,いずれにも共通して認められる現象は,交感神経系あるいはレニン—アンジオテンシン—アルドステロン(RAA)系に代表される神経体液性因子の賦活化である.これらの系は,元来,心拍出量の低下に対する代償機転として働くが,過剰賦活化が持続すると残存している正常心筋にも障害が及び,代償機構の破綻から悪循環に陥ることが知られている.この悪循環から離脱する方法として,アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬あるいはβ遮断薬による治療が試みられ,心不全に対する有効な治療法として確立されてきた.最近では,アルドステロン拮抗薬1)も心不全患者の予後を改善することが明らかになった.
これまでに多くの大規模臨床試験が米国を中心として行われてきたが,今回はこの1年間において発表された試験結果を中心にまとめたうえで,最近注目されているAT 1拮抗薬の位置づけについて述べることとする.
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