Japanese
English
特集 好中球と肺疾患
好中球機能とその活性化機構—組織傷害に関連して
Neutrophil Functions and Their Activation Mechanisnns:Relationship to tissue injury
湯尾 明
1
Akira Yuo
1
1国立国際医療センター研究所血液疾患研究部
1Department of Hematology, Research Institute, International Medical Center of Japan
pp.1059-1068
発行日 1998年11月15日
Published Date 1998/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404901788
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はじめに
好中球は,細菌,真菌感染症に対する宿主の防御機構において中心的な役割を果たしている.生体に侵入してくる病原微生物を効率よく殺すために,好中球には様々の機能(遊走能,粘着能,貪食能,脱顆粒,活性酸素産生能,殺菌能,生理活性物質産生能など)が備わっている1).しかしながら他方においては,好中球のこのような多彩な機能が生体に不利に働くこともよく知られている.すなわち,殺菌に使われるべき好中球の強力な機能が組織傷害の原因となり,炎症性疾患の病態形成に好中球が一役買ってしまうことがしばしば報告されてきた2).
このように生体に有利にも不利にも働きうる(いわば諸刃の剣のような)好中球の機能とその活性化機構の基礎的な面に関して,全般的な概説を行う.本特集の趣旨に沿って,肺の組織傷害における好中球の役割という視野をにらんで,呼吸器の専門の先生方による論文を読むのに手助けとなるような解説にしたいと考えている.
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