Japanese
English
特集 蘇生をめぐる新しい展開と問題点
心肺蘇生法の普及とその効果
Communitywide Education of CPR and the Effect
水沼 吉美
1
,
鈴木 智之
2
,
平盛 勝彦
1
Yoshimi Mizumuma
1
,
Tomoyuki Suzuki
2
,
Katsuhiko Hiramori
1
1岩手医科大学医学部第二内科
2岩手医科大学高次救急センター
1Department of Internal Medicine II, Iwate Medical University School of Medicine
2Department of Emergency Medicine, Iwate Medical University School of Medicine
pp.333-339
発行日 1998年4月15日
Published Date 1998/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404901669
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はじめに
米国では年間150万人の急性心筋梗塞症患者が発生し,そのうち約60万人が死亡している.そのなかの30万〜40万人は院外での心停止例であり,その救命のため心臓病救急医療システムを確立しようとする努力が精力的になされている.わが国でも,虚血性心疾患とそれによる急死例が増加してきている.内因性CPAOA(cardiopul—monary arrest on arrival)で搬送されてくる患者の40〜70%は心疾患が原因とされ,その心臓急死例の3分の2は急性心筋梗塞症を含む急性冠症候群が原因であると推測されている.わが国では,救急現場に居合わせた一般市民による心肺蘇生法(bystander CPR)施行率は10%程度と低く,CPAOA例の社会復帰率は1〜3%と著しく低い状況にある.岩手県では,一般住民への心肺蘇生法の普及と緊急性の高い心臓病についての理解と意識向上を目的に,さらには心臓病救急医療システムの充実を図るべく,心肺蘇生法普及推進会議を設置し県民運動として全県に展開している.
本稿では,わが国の救急医療現場の現状を示し,岩手県での心肺蘇生法普及県民運動とその効果について述べる.
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