四肢血行障害の診断と治療—③深部静脈血栓症

Diagnosis and Management for Peripheral Vascular Disease:Deep Vein Thrombosis

　深部静脈血栓症（DVT：deep vein thrombo—sis）は四肢，特に下肢深部静脈の血栓性閉塞と還流障害によって，下肢の腫脹，緊満痛，立位紅潮などを生じる疾患で，血栓性静脈炎（thromboph—lebitis）ともいわれたが，現在ではDVTが一般的に使われている．本症は動脈血栓症などと異なり救肢（limb salvage）が緊急の課題となることは比較的少ないが，重篤な肺塞栓症（PE：pulmo—nary embolism）を併発したり，初療の適否によっては下肢のうっ滞性皮膚炎，潰瘍など患者にとって不快な静脈血栓後遺症（postthrombotic syn—drome）に移行するため，早期診断と適切な治療を要する疾患である．